練習しなきゃダメ?|練習したがらないキッズの対処法
ピアノを習い始めたばかりの子どもが、なかなか練習してくれない。
そんな悩みを抱えるご家庭は少なくありません。せっかく音楽に触れる機会を得たのに、毎日の練習がストレスになってしまっては、子どもにとっても保護者にとっても本末転倒です。
実は、子どものやる気を引き出すには「練習=努力」という一方向的な捉え方から一歩離れて、「楽しく続けられる工夫」や「環境に応じた柔軟な対応」がカギとなります。
この記事では、電子ピアノの活用法やピアノがない場合の代替練習法など、子どもが前向きに音楽に取り組めるようになるためのヒントをご紹介します。
ピアノの上達には継続的な練習が不可欠です。とはいえ、子どもにとって「練習」はすぐに飽きてしまったり、「やらされている感」が強くなったりするもの。特に幼児〜小学校低学年では、モチベーションの波が大きく、集中力も限られます。
この時期に大切なのは、「練習=苦しいこと」という印象を持たせない工夫。たとえば以下のようなアプローチが有効です。
練習したらごほうび、ではなく「弾けるようになって嬉しい」経験を増やす
1日15分でもOKとする。タイマーを使って“短期決戦”に
目標を“1曲通して弾く”よりも“左手3小節だけ弾けたらOK”など細かく分解
保護者が笑顔で「今日の音、よかったね」「成長してるね」と声をかけるだけでも、子どもは自信を持ちやすくなります。
おうちに電子ピアノがある場合は、それをフル活用しましょう。多くの電子ピアノにはさまざまな機能が搭載されており、練習のマンネリを防ぐ工夫ができます。
音色チェンジで、同じ練習も飽きない!
「毎日同じ曲・同じ音色で練習していたらつまらない…」という声はよく聞きます。
そんな時は、電子ピアノの音色切り替え機能を活用しましょう。
1回目:ピアノ音色
2回目:オルガン
3回目:ストリングス
4回目:木琴
など、音色を変えるだけで「違うことをやっている」ような気分転換になります。 実際には同じフレーズでも、音が変わるだけで回数が自然と増えていくこともあります。
メトロノームで「速さチャレンジ」
ゆっくりから速く…テンポに段階をつけて挑戦する“テンポチャレンジ”も効果的です。「今日はテンポ60、明日は70」などとゲーム感覚で段階を踏めば、成功体験が積み重なります。テンポを自分で調整できる年齢なら、自主性の芽も育ちます。
「家のピアノが壊れてしまった」「そもそも持っていない」 そんなご家庭でも、音楽的な感覚や基礎練習をする方法はたくさんあります。
ドレミで歌うだけでも、十分な練習に
まずおすすめしたいのが「口唱(こうしょう)」です。曲のメロディを「ドレミ」で歌ったり、リズムを手拍子でとったりするだけでも、音感や拍感を育てる練習になります。これは実際、戦前〜戦後の家庭で一般的に行われていた方法でもあります。
指の動きをイメージで覚える
鍵盤がなくても、指使いや流れを覚えることは可能です。
たとえば:
スマホ・タブレットの無料鍵盤アプリ
紙に印刷された鍵盤(「紙鍵盤」)
ノートに鍵盤図を描く
などを使って、楽譜を見ながら「この指でこの音」と指を動かす練習をします。
実際に音は出ませんが、視覚と指の連動 が鍛えられ、いざ本物の鍵盤に向かった時にスムーズに弾けるケースもあります。
子どもの「やる気」は、環境や周囲の雰囲気に大きく左右されます。親がピアノ経験者でなくても大丈夫。一緒に歌ったり、感想を言ってあげたりするだけで、「聞いてくれる人がいる」「見てくれる人がいる」という安心感になります。
また、親自身がリズムに合わせて体を動かしたり、「今日は何の音色で弾くの?」と話題にすることでも、子どもにとってはモチベーションにつながります。
練習を嫌がるのは、子どもが悪いのではありません。環境、声かけ、目標設定、工夫の仕方次第で、「なんとなく気が向いたからやってみた」が「気づけば続いている」に変わることもあります。
ピアノがある・ないに関わらず、“できること”は必ずあります。まずは「できた!」を小さく積み重ねていきましょう。

